抄録
ミツユビカモメRissa tridactylaは,日本には冬鳥として渡来する(日本鳥学会1974)。海岸性というより沿岸性の海鳥で,外海の海上に多い。北日本では普通に見られるが,南日本から南の海上では少なく,大分県,鹿児島県,西表島などで記録があるだけである(大分県1982,川路他1987,Brazil 1988)。ハワイやオアフ島でも迷行の記録があるが,その多くがすぐ死亡した個体か落鳥であり,そのほとんどの鳥が幼鳥であるという(Pratt 1987)。日本でのミツユビカモメのバンディングや保護の記録は少なく,山階鳥類研究所(1985, 1988)によれば,28年間の総放鳥数は,わずか6羽である。著者らは,ミツユビカモメの成鳥と幼鳥を保護して観察する機会があり,またミツユビカモメの亜種について知見を得たので,その報告をしたい。本報告をまとめるにあたり,山階鳥類研究所・茂田良光氏には原稿の校閲を,百瀬邦和氏には写真をお借りした。これらの方々に深く感謝の意を表したい。