行動経済学
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論文
事例ベース意思決定理論(CBDT)の実証研究―革新的な製品の採用意思決定への適用―
郷 香野子
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2018 年 11 巻 p. 24-39

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抄録

本研究では,革新的な製品の採用という不確実な状況に事例ベース意思決定理論(CBDT)を適用した.研究1では,「グーグルグラス」を対象新製品とした消費者実験から,革新的な製品の採用では多属性意思決定(MAD)モデルよりも事例ベース意思決定(CBDT)モデルの方がモデルのあてはまりが良好となることを明らかにした.さらに,新製品の採用では,消費者の外部からの情報による学習を考慮する必要があることから,研究2では,最も初期の学習過程である,新製品のポジションを得る学習状況にCBDTを拡張させた.新製品のポジション情報を利用してCBDTで参照する事例を制約するという仮説を設定し,革新度が高い/低いとポジショニングする場合の差異についても検討した.「グーグルグラス」に対して革新度の異なる製品カテゴリ・ラベル(HMD,スマートフォン)を提示する消費者実験を行った結果から,新製品を革新度が高いとポジショニングした場合(HMD)にのみ,この情報から学習してCBDTで参照する事例を決めるとわかった.

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© 2018 行動経済学会
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