独裁者ゲームにおいて他者に対して正の割合を配分する利他的行動を人が選択する割合や程度は,配分総額の決定過程に依存することが知られている.本研究では配分総額の決定過程として,独裁者と受領者がコミュニケーションを取りながら共同で行う作業を通じて報酬を獲得する場合と,それぞれが個別に行う作業を通じて獲得する場合を比較した.また作業における自分と相手の貢献度をアンケートで測定することで,主観的な貢献度評価が配分額に与える影響を分析した.実験の主要な結果は以下の二点である.(1)共同作業は個別に作業を行った場合よりも均等配分率を増加させるが,この影響は弱く,様々な要因を統制すると統計的な有意性は観察されなかった.(2)独裁者の受領者に対する貢献度評価が自分に対する評価と比べて高まるほど,均等配分率が増加する傾向が観察された.