行動経済学
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第16回大会プロシーディングス
風しん抗体検査・予防接種のクーポン券送付の政策効果:回帰不連続デザインと行政データ・全国規模サーベイデータによる検証
加藤 大貴佐々木 周作大竹 文雄
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2022 年 15 巻 Special_issue 号 p. S22-S25

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抄録

本研究は,日本の風しん追加定期接種において2019年度から実施されたクーポン券送付施策の効果を,地方自治体の行政データと全国規模のオンライン調査データを用いて検証する.追加定期接種は,日本が風しんに対する集団免疫を獲得するために,抗体保有率の低い40~57歳の男性を対象に実施されるものである.クーポン券は自治体を通じて段階的に送付され,初年度の2019年度には,40~46歳の男性に限定して送付された.47~57歳の男性がこの年度中にクーポン券を受け取るには,居住地域の自治体に自分から申請する必要があった.分析では,年齢によって2019年度にクーポン券が自動的に送付されるかどうかが決まることを利用した回帰不連続デザインで,クーポン券の送付の効果を推定した.その結果,クーポン券の送付は,申請の取引費用の抑制と追加定期接種の認知度の向上を通じて,抗体検査の受検率とワクチン接種率を高めることが明らかになった.

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© 2022 行動経済学会
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