行動経済学
Online ISSN : 2185-3568
ISSN-L : 2185-3568
第3回大会プロシーディングス
主観的幸福度のセルフレコーディング手法の開発
—カレンダー·マーキング法—
佐伯 政男前野 隆司
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 3 巻 p. 146-152

詳細
抄録

幸福度を継続的に自己管理するための手法として,カレンダー·マーキング法を開発した.カレンダー·マーキング法は,一日の終わりにその一日を振り返り,主観的な評定を行う手法である.すなわち,評定の結果,その日がよい日であったら「◯」,悪い日であったら「×」,どちらでもない日であったら「△」をカレンダーの日付欄に記録する.心理学部の学部生を対象に,10週間,手法の実施を行った.実施後に測定したThe Satisfaction with life Scale (SWLS)では,手法の実施群と対照群のSWLSに統計的に有意差は見られなかった.SWLSと各被験者の各記号の総数との相関係数は,◯,△,×,それぞれ,0.506,-0.439,-0.237であった.分析の結果,よい日にも悪い日にも△を付ける傾向が見られた.◯を増やし△と×を減らすことによって幸福度を向上させうることが示唆された.また,被験者間,被験者内で各記号の報告には変動性が見られたことから,本手法で得られた結果は,主観的幸福度の測定手法として利用されうることを示した.

著者関連情報
© 2010 行動経済学会
前の記事 次の記事
feedback
Top