抄録
解釈レベル理論によると,心理的距離の一つである時間について,遠い将来の購買に関しては製品が機能的に優れているような本質的特性が重視され,近い将来の場合には製品の使い易さのような副次的特性が重視されることになる.先行研究では被験者の評価データを中心として経験的研究が報告されているが,本研究では消費者行動という視点から選択を課題とした場合でも同様な結果が得られるかを探る.また,選択肢の比較にあたって,どちらを比較主体とするかによる比較方向性の効果を合わせてテストした.標準的機能の電子辞書と,印刷機能を追加した電子辞書との比較という状況設定で,被験者の認める価格差と,選択データ(ネット調査,n=787)を分析の結果,解釈レベル理論については不支持的結果が,そして比較の方向性効果については部分的な支持的結果が得られた.