抄録
本稿は,Bollen (2007)の分析方法に依拠して,近年,わが国の投資信託市場で人気を集めている分配型ファンドの購入売却に関する投資行動について,アディクションのみならず,時間選好の観点から,検証を行うものである.
分析の結果,一般型ファンドの投資行動が,短期的なファンド·パフォーマンスの影響を受けるのに対して,分配型ファンドは,長期的なファンド·パフォーマンスの影響を受けることが示された.この結果は,分配の頻度が高い場合には,伝統的なフレームワークでは考慮されないような,分配金の効用が存在することを示していると考えられる.さらに,設定日や資産規模の違いを調整したマッチング·サンプルの分析や,分配の程度に注目した分析を行ったところ,整合的な分析結果を得ることが確認された.これらの結果は,分配型ファンドの需要は,時間選好率が一定でないような投資家の効用関数によって説明されることを示唆していると考えられる.