2014 年 7 巻 p. 45-49
本稿では凸時間予算制約下での選択実験(CTB法)で計測される時間選好が,幸福度やポジティブな感情からどのような影響を受けるかについて考察する.先行研究と同様に感情に影響を与えないようなコントロールグループと,幸福度やポジティブな感情に影響を与えるようなトリートメントグループをランダムに割り当て,介入を行った後に時間選好を計測した.先行研究では幸福度やポジティブな感情を高めたトリートメントグループの方が時間割引率は低かったが,本研究では2つの意味で異なる結果を得た.第1に,コントロールグループと比べて,幸福度やポジティブな感情が高くなったトリートメントグループの方が時間割引率は高かった.第2に,介入による感情の変化と時間選好には相関がないことが明らかになった.