抄録
本稿では株式の売買注文の時間間隔に注目し,間隔の短い注文が株価形成にどのような影響を及ぼしているのかについて分析する.直前の注文との間隔が極端に短い注文(短間隔注文)は,直前の注文に反応するような高頻度取引によるものである可能性が高い.したがって,短間隔注文を分析することは,高頻度取引が増加している近年の株式市場の特性を捉えることにも繋がる.分析の結果,売買が盛んな銘柄に多い等,短間隔注文の特徴が明らかになった.さらに,スプレッドを拡大させる約定のようなインパクトが大きい注文の後には短間隔注文が集中し,前の注文のインパクトを拡大させるような傾向があること等,価格形成への影響もわかった.