行動経済学
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第10回大会プロシーディングス
認知的ネットワークによるアレの背理におけるリスク態度変化の説明
犬童 健良
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2017 年 9 巻 p. 81-84

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抄録

本論文は,アレの背理における共通比効果(あるいは確実性効果)の要因を分析するため,クジ間の比較を交差的注目ネットワークモデルとしてモデル化し,先行研究(犬童,2013)の交差的注目の実証データを再解釈した.交差的注目とは,仮想的に選択されたクジの一つの可能な結果を条件として,選択されなかったクジの別の結果に注目することである.草的注目ネットワークでは,一対のクジ間の比較における認知的活動を,一方のクジの可能な結果を仮想的な参照点として,もう一方のクジの可能な結果がどれだけ気になるかの指標としてポテンシャル値が各枝に割当てられる.またこのネットワークはポテンシャルゲームとして解釈される.本論文では経路の追加が混雑を悪化させる交通現象のゲーム理論モデルであるブライスの背理が,アレの背理を引き起こす交差的注目ネットワークにおいて起きることが確認され,また参照点の設定との関係が論じられた.

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© 2017 行動経済学会
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