日本気管食道科学会会報
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症例報告
先天性二裂喉頭蓋の1症例
守本 倫子川城 信子獅山 富美子土橋 信明
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2001 年 52 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

先天性二裂喉頭蓋は喉頭蓋が先天的に正中で分断された形を呈しているもので,軟骨の脆弱性も加わって,しばしば重篤な呼吸困難や慢性的な誤嚥をひきおこす。世界でもわれわれの調べた限り20症例しか報告されておらず,大変稀な疾患である。しばしば他のあらゆる部位の奇形を合併することが多い。その中でも最もよく認められるのは手指や足趾の異常であり,約70%の症例で報告されている。また,最も重篤な合併奇形は視床下部過誤腫と下垂体低形成が報告されている。
今回われわれは,Hirschsprung病の根治術施行後,さらに誤嚥や喘鳴が増悪してきたため,喉頭ファイバーを行い,そこで二裂喉頭蓋が発見された症例を経験した。特にその他に合併した異常は認められなかった。過去の報告においても,合併奇形が多彩なために二裂喉頭蓋の治療が行われなかったり,自然寛解を期待して長期間何も行わずに経過観察されている例も少なくない。われわれは喉頭蓋を正中で縫合して喉頭蓋形成を行ったところ,早期に症状を消失させることができて大変有用であったので文献的考察を加え,報告する。

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