日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
症例報告
放射線治療23カ月後に下咽頭瘻孔を形成し頸動脈破裂をきたした症例
増田 正次吉田 昭男川浦 光弘吉原 重光
著者情報
ジャーナル 認証あり

2001 年 52 巻 1 号 p. 39-42

詳細
抄録

われわれは喉頭癌に対する放射線治療終了23ヵ月後に大量出血をきたした63歳男性を報告する。患者は放射線治療後,喉頭全摘術は受けていなかったが両側頸部郭清を施行されていた。出血時の左下顎部の疼痛が出血部位を示唆しており,われわれは下咽頭から総頸動脈へとつながる瘻孔を発見した。20単位に及ぶ十分な輸血をしながら総頸動脈の壊死部を結紮切除した。その後47日目に再び出血が起き,下咽頭皮膚瘻が形成されてしまった。われわれは十分な栄養管理の後,喉頭全摘術と大胸筋皮弁による再建術を施行した。
放射線治療後の頸動脈破裂への対処法として古典的ともいえる頸動脈結紮術がいまだに重要な役割を担っており,再出血の危険を避けるためにも,十分な栄養管理の後に喉頭全摘術と大胸筋皮弁による再建術を積極的に行うべきことをわれわれは強調する。

著者関連情報
© 2001 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top