日本気管食道科学会会報
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特集2 シンポジウム2:咽喉頭異常感の現況と対策
咽喉頭異常感症発現の神経機序
津田 邦良
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2001 年 52 巻 2 号 p. 114-119

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抄録

咽喉頭異常感症(異常感症)は様々な原因によって発現し,また訴えも多彩である。ほとんどの患者はのど(下咽頭,喉頭および食道入口部)に漠然とした異常感を感じており,患者自身が異常感を認知する部位や異常感の性状をはっきりと特定できずにいる場合が多い。今回異常感症発現の神経機序を考察するにあたり,異常感症を惹起させる解剖学的なtrigger point別に分類した。その分類は末梢神経レベル由来のもの(末梢性咽喉頭異常感症),中枢神経レベル由来のもの(中枢性咽喉頭異常感症)の2種類とした。さらに末梢性咽喉頭異常感症の神経機序を明らかにする目的で喉頭披裂部と食道入口部に異なる逆行性トレーサーを注入し蛍光抗体法で頸静脈神経節と節状神経節内で標識される一次知覚細胞の分布および二重に標識される細胞の有無について検討した。その結果として,一次知覚細胞の二重標識が頸静脈神経節で約10%に認められた。このことが咽喉頭異常感の成因のひとつであることが示唆された。

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