日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
特集1 シンポジウム1:気管・食道狭窄に対するステント治療
進行食道癌に対する金属ステントの効果と限界
青山 法夫南出 純二小泉 博義
著者情報
ジャーナル 認証あり

2001 年 52 巻 2 号 p. 68-74

詳細
抄録

1996年5月より2000年5月までの期間に進行食道癌に金属ステント留置を施行した32例を対象とし,金属ステントの効果と問題点について臨床的検討を行った。ステント治療の理由は,食道狭窄が24例(75%),気管食道瘻が8例(25%)であった。 30例(93.8%)は食道癌に対する化学療法や放射線治療が行われていた。使用した金属ステントは,Ultraflex 31例(covered type 27例,uncovered type 4 例),Wallstent 1例であった。食道用金属ステントの留置は全例可能であった。気管食道瘻8例中7例(87.5%)は瘻孔遮断が可能であった。金属ステント留置後に経口摂取の改善が認められたのは30例(93.8%)であった。金属ステント留置後退院可能であったのは14例(43.8%)であった。金属ステント留置後の生存期間中央値(MST)は,54日であった。合併症としては,uncovered typeで出血が1例に,ステントの脱落・移動が4例(12.5%),ステント自己拡張中の食道穿孔が1例,tumor ingrowthが2例(6.3%)であった。また,死亡時の出血(吐血・喀血)は12例(37.5%)に認められたが,その原因の大部分は腫瘍因子によるものであった。

著者関連情報
© 2001 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top