日本気管食道科学会会報
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特集1 シンポジウム1:気管・食道狭窄に対するステント治療
進行食道癌症例に対するステント挿入の有用性と問題点
島田 英雄千野 修西 隆之田仲 曜木勢 佳史姫野 信治釼持 孝弘山本 壮一郎原 正田島 隆町村 貴郎田島 知郎幕内 博康
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2001 年 52 巻 2 号 p. 75-81

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抄録

ステント(SEMS)挿入は切除不能進行癌や気管食道瘻形成例などに対する最終段階の処置としての印象が強かった。また,このような症例では長期予後が望めないものも多く,QOLの改善を考慮して,ステント挿入を行い積極的に経口摂取の改善を図りたいと考えている。われわれは,SEMS挿入時期と挿入後,追加治療の評価法について検討を行った。1996年からSEMSを挿入した症例は23例である。切除不能理由に関しては,腫瘍要因が16例,腫瘍要因+全身要因が4例,全身要因は3例であった。腫瘍主占拠部位はUtが10例,Mtが10例,Ltが3例で,腫瘍長径は6~12cm(平均:9.3cm)であった。SEMSの挿入時期については,治療初期挿入例は11例で,治療後挿入例は12例である。SEMS挿入は合併症もなく行われ,全例に経口摂取が可能となりQOLの改善がみられた。口側食道の拡張を認める症例では,SEMS挿入を行うことで経口摂取が可能な状況での治療が可能であり,誤嚥の予防にも有効と思われた。さらに,ステント挿入前後のCT検査は,ステント挿入に伴う腫瘍による気道系の圧排状況の評価また治療効果の判定にも有用と思われた。

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