日本気管食道科学会会報
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特集2 シンポジウム2:咽喉頭異常感の現況と対策
咽喉頭異常感と喉頭アレルギー
石田 春彦
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2001 年 52 巻 2 号 p. 96-100

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抄録

1997年のスギ花粉飛散期にスギ花粉症患者55例を対象に検討した結果,34例(61.8%)が喉頭アレルギーと診断された。それらの症例は全例何らかの咽喉頭症状を有しており,咽喉頭異常感が最も多く認められた。喉頭所見では披裂部蒼白浮腫状変化を最も高頻度に認めたが,異常所見のない症例も存在した。また抗アレルギー剤の効果は喉頭アレルギーでは79.4%で認められたのに対し,喉頭アレルギー疑いでは22.2%にすぎなかった。
次に咽喉頭異常感症と診断される患者42例を対象として喉頭アレルギーについて検討した。その結果14.3%が喉頭アレルギーであった。これらの症例でも喉頭所見としては披裂部蒼白浮腫状変化を高率に認め,またアレルギー疾患の既往や特異的IgE抗体の陽性率等アレルギー素因も喉頭アレルギーのほうが疑い例より強く認められた。
これまでのわれわれの基礎的検討結果,および今回の臨床的検討の結果より,喉頭でもアレルギー反応は起こり得るものであり,咽喉頭異常感を主訴に来院した患者の診察に際しては喉頭アレルギーも鑑別疾患に加える必要がある。

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