日本気管食道科学会会報
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特集2 シンポジウム2:咽喉頭異常感の現況と対策
咽喉頭異常感症のスクリーニング検査
小澤 博史北嶋 和智片岡 英幸
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2001 年 52 巻 2 号 p. 101-105

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抄録

最近,咽喉頭に何らかの異常感を訴えて耳鼻咽喉科を受診する患者が増えているようである。今回,咽喉頭異常感症315例のスクリーニング検査について検討した。検査結果は,血清鉄低下15%,F-T3低下19%,F-T4低下12%,抗マイクロゾーム抗体陽性13%,抗サイログロブリン抗体陽性18%,頸部超音波検査で甲状腺に何らかの異常所見42%,上部消化管造影で異常所見10%,頸椎X-Pで頸椎の変形31%であった。咽喉頭異常感症の器質的疾患の一つとして甲状腺疾患があげられており,今回のスクリーニング検査でも比較的多くの症例に甲状腺の異常を認めた。特に甲状腺の部位に異常感を訴えた症例に甲状腺機能低下,抗マイクロゾーム抗体陽性,抗サイログロブリン抗体陽性,頸部超音波検査で甲状腺に異常所見のある症例が多かったことより,咽喉頭異常感症と甲状腺疾患の関連性が示唆され,スクリーニング検査として甲状腺の精査は必要であると考えた。

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