抄録
声帯内シリコン注入(以下,シリコン注入)症例349例と声帯内自家脂肪注入(以下,脂肪注入)症例18例を対象に,反回神経麻痺の病因,手術手技,手術前後の音声機能を比較して,両者の適応を考察した。その結果,脂肪注入はシリコン注入と同様,劇的な音声改善をもたらすことがわかった。注入物質としては脂肪のほうが安全であり,麻痺の病因を問わず使用できる。羸痩の激しい患者では脂肪採取が困難なので,そのような麻痺症例(肺癌,食道癌などの姑息治療例で余命の少ない場合など)に対しては外来でのシリコン注入はよい適応であると考えられた。