日本気管食道科学会会報
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症例報告
小型気管内チューブの合併症例
吉野 和美野中 聡片田 彰博国部 勇林 達哉原渕 保明
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2002 年 53 巻 3 号 p. 280-284

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抄録

輪状甲状靱帯の穿刺による小型気管内チューブ留置は,気管切開術より簡便で短時間に施行することが可能である。そのため,上気道閉塞時の緊急気道確保を目的に多用される。また最近では喀痰排出を目的に施行される報告も散見され,その適応が徐々に拡大する傾向がみられている。今回われわれが経験した小型気管内チューブ留置によって,甲状軟骨を穿通したため嗄声と誤嚥をきたした症例と,皮下気腫を呈した症例から,小型気管内チューブの適応の有無やチューブ留置の際の問題点をあげた。小型気管内チューブ留置はあくまでも緊急の気道確保を目的に施行するべきであり,また本方法が適切に普及するために,耳鼻咽喉科医は他科からの依頼に応じ,状況に応じた適切なアドバイスを行うことも重要と考えられた。

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