抄録
迷走神経麻痺による嚥下障害,誤嚥,発声障害症例に対して,喉頭・下咽頭に脂肪注入術を行った。吸引採取した脂肪を全麻下に喉頭直達鏡下に注入した。注入部位は,声帯,仮声帯,披裂喉頭蓋ヒダ,下咽頭梨状陥凹の内側壁である。これらの部に注入することで,声帯・仮声帯レベルでの喉頭の閉鎖機能を確実にできた。披裂軟骨楕円窩の外側上方にも脂肪を注入することで,披裂軟骨を内転させた。患側の梨状陥凹を狭小化させることで麻痺側の下咽頭梨状陥凹内の食物残留をなくし,咽頭クリアランスを改善させることができた。本法は迷走神経麻痺による発声障害,軽度の誤嚥症例に対して有用な手術法といえた。