抄録
胃食道逆流症(gastro esophageal reflux disease: GERD)に伴う咽頭喉頭疾患は咽喉頭酸逆流症(laryngo pharyngeal reflux disease: LPRD)と呼ばれている。今回われわれは,臨床的にLPRDと診断された症例に対し24時間pHモニタリングを施行し,頸部食道までの酸逆流を直接証明し,さらに下咽頭粘膜生検にて病理学的診断を施行し,両者の関係について検討を行った。その結果について報告する。
症例は2001年9月から2002年9月までに東京医科大学八王子医療センターを受診しLPRDが疑われた症例のうち,24時間pHモニタリングと下咽頭粘膜生検を施行した15症例である。男性が10例,女性が5例,平均年齢は57.4歳であった。24時間pHモニタリングは外来にて施行した。pHモニター挿入時に下咽頭粘膜生検を施行した。
pHモニタリングの結果はAmsterdam法で解析した。15例中13例に頸部食道までの逆流を認めた。病理組織所見では15例中14例に炎症所見を認めた。
LPRD症例でpHモニタリングにて逆流が証明された症例においては,病理組織学的にも高頻度に炎症所見を認めることがわかった。