抄録
高齢者における気道感染の特徴は,加齢や基礎疾患により修飾された気道および肺での菌のクリアランスの低下に起因する肺炎を容易に発症することである。誤嚥の診断は不顕性誤嚥の場合には,誤嚥そのものを客観的に把握することは困難な場合があり,臨床的に,高齢者の胸部X線で背側にある浸潤影は,誤嚥の関与を常に念頭をおく必要がある。原因菌は肺炎球菌などのほかに口腔内の嫌気性菌であり,細菌学的にはグラム染色がその原因菌の決定に有効である。抗菌薬としては,呼吸器学会のガイドラインで推奨されているようにβ-ラクタム薬・β-ラクタマーゼ阻害薬合剤,カルバペネム系薬,クリンダマイシンが適応になるが,重症肺炎に用いられるニューキノロン系薬の注射などは,嫌気性菌に対して活性が弱く適応とならないことも多い。予防に関して,多様な報告がなされているが,症例ごとに,外科療法も含めて,患者と充分話し合いながら,その適応を決めていく必要がある。