日本気管食道科学会会報
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症例報告
高齢者の甲状腺癌術後気管壁欠損を耳介軟骨遊離皮弁で再建した2例
児嶋 剛庄司 和彦池上 聰岸本 曜高橋 淳人
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2006 年 57 巻 3 号 p. 318-325

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抄録

甲状腺癌の気管浸潤例では気管合併切除が必要になることがある。高齢者の気管再建には手術侵襲,周術期の安全性を考慮すると二期的再建が気管端々吻合より安全性が高く適している。今回われわれは高齢者に対し耳介軟骨を用い二期的に再建を行った2症例について報告する。症例1は83歳女性。甲状腺癌の気管浸潤による呼吸困難を認め,甲状腺全摘術および気管壁部分切除を行った。4×1.5 cmの気管欠損に対して耳介皮膚軟骨複合弁を遊離移植し再建をした。症例2は81歳女性。甲状腺癌の気管浸潤および気管内への出血を認め甲状腺右葉切除および気管壁部分切除を行った。気管壁欠損部が大きかったため一度皮下に耳介皮膚軟骨複合弁を埋め込んで生着してから再建を行った。この方法は移植片の確実な生着を期待でき安全である。

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