甲状腺腫瘍の終末像の一つに気道閉塞があり,姑息的治療とはいえステント留置による気道確保の持つ意義は大きい。甲状腺腫瘍患者では未分化癌などを除き気道が確保されていれば,担癌状態で比較的長期生存が期待でき,これは肺癌·食道癌患者に行うステント留置の場合と大きく異なる。長期留置に耐え得るよう,ステントの種類·位置の選択をCTや内視鏡等で事前に十分検討する必要がある。今回われわれは甲状腺腫瘍による気管狭窄に対して気管ステントを留置した3症例を経験したので報告する。
根治治療が困難な気管狭窄を伴う甲状腺腫瘍症例に対するステント使用が補助的治療として有用であり,QOLの向上に役立つものと考えられた。