日本気管食道科学会会報
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原著
進行性神経疾患における誤嚥防止術と介護者のQOL
福家 智仁伊藤 裕之加藤 孝邦山田 弘之
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2007 年 58 巻 4 号 p. 371-376

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抄録

誤嚥防止術は肺炎による死亡防止,抗菌剤の投与量を抑制し,患者のQOLだけでなく介護者のQOLを改善し医療費の抑制にも貢献する。気管切開術を行った場合,頻回の吸引が必要になり,在宅療養を行う場合は患者だけでなく介護者の負担も増大する。われわれは発声不能となった末期の進行性神経疾患3例に誤嚥防止術を行い術後の患者と介護者のQOLについて検討した。誤嚥防止術後,1日の吸引回数が4~6回,夜間は0~1回となった。これにより患者,介護者の負担は軽減し,さらに気管カニューレが不要になり吸引チューブの使用も減ったため経済的負担も軽減した。嚥下性肺炎に対する誤嚥防止術の適応基準は一定したものがないが,患者だけでなく介護者の負担を十分に考慮した上で誤嚥防止術の適応を検討すべきである。

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