日本気管食道科学会会報
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原著
一診療所における嚥下障害への取り組み
西山 耕一郎永井 浩巳臼井 大祐正来 隆佐藤 賢太郎井口 芳明八尾 和雄廣瀬 肇
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2007 年 58 巻 4 号 p. 384-391

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抄録

耳鼻咽喉科診療所における嚥下障害患者の有病率の検討は今までない。そこで西山耳鼻咽喉科医院を受診した75歳以上の81例に対して,嚥下内視鏡検査によるスクリーニング検査を施行して3群にわけ,有病率について検討した。その結果,有病率は正常群34例(42%),喉頭侵入群21例(26%),誤嚥群26例(32%)であった。過去1年以内に明らかな原因がないにもかかわらず2kg以上の体重減少を認めた症例は,正常群では1例,喉頭侵入群では2例,誤嚥群では7例であった。体重減少を認めた症例はいずれも喉頭知覚が低下し,痰の喀出機能が低下していた。嚥下性肺炎例では痰の喀出機能が体重減少に関与していることがわかった。誤嚥のある状態で喉頭知覚が低下して,痰の喀出が不良だと,不顕性嚥下性肺炎を起こす。すると肺炎により必要エネルギーが増加してカロリー消費が増加し,体力を消耗して体重減少を招くのではないかと考えた。

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