日本気管食道科学会会報
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原著
気管孔閉鎖術症例の検討
東野 正明鈴木 倫雄櫟原 新平櫟原 崇宏李 昊哲河田 了
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2015 年 66 巻 1 号 p. 7-12

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抄録
全身状態の改善や上気道狭窄の改善によって気管切開孔の必要性がなくなり,気管カニューレを抜去しても自然に閉鎖しない場合,外科的に閉鎖せざるを得ない。その際,われわれは基本的にはhinge flapによる気管孔閉鎖術 (Hinge群) を施行し,hinge flapで閉鎖困難な症例に対しては前胸壁皮弁を加えた術式 (前胸壁群) を用いており,これらの症例について検討した。対象は2004年から2013年までの10年間に気管切開孔閉鎖術を施行した70例 (男性41例,女性29例),平均年齢は63歳 (13~83歳) 。原疾患は甲状腺腫瘍が26例で最も多く,次いで口腔癌13例,中咽頭癌9例であった。気管切開孔閉鎖の術式は,Hinge群は62例 (89%),前胸壁群は8例 (11%) であった。術前の気管切開孔の最大径は,前胸壁群が有意に大きかった。気管切開術から気管切開孔閉鎖術までの気管切開孔開存期間は2群間で有意差はなかった。術後合併症は,Hinge群で62例中18例 (29%) 生じ,前胸壁群では8例中4例 (50%) に生じた。術後創部哆開および感染を認めた18例は有意差をもって放射線治療歴があり,うち16例は2週間~6カ月 (中央値1.5カ月) で自然閉鎖したが,2例は現在も気管孔が残存している。
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