日本気管食道科学会会報
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原著
当院における2歳以下の乳幼児に対する気管切開症例の検討
岡 愛子吉田 充裕佐藤 進一
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ジャーナル 認証あり

2015 年 66 巻 4 号 p. 250-254

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抄録

当科で2009年から2013年の5年間に気管切開を施行した2歳以下の乳幼児41例 (男児27例,女児14例) について,術後の合併症と言語発達に注目して検討した。術後の合併症として多かったのは気管内と気切孔周囲の肉芽形成で,重複例も合わせて19例 (46%) に認めたが,その後多量出血や窒息で死亡した症例はなかった。肉芽や痰によるカニューレ閉塞は4例 (10%),カニューレ誤抜去は2例 (5%) で認め,それぞれ1例ずつ死亡例を認めた。気管内肉芽形成群では肉芽非形成群と比較して術前のCTで皮膚と気管前壁の距離の平均が短かった。これは皮下の厚みが薄いとカニューレが傾きやすくなり,先端が気管前壁に当たって肉芽を形成してしまう可能性が考えられた。このような症例ではカーブの緩やかなカニューレを選択するなどの対策が必要である。気切孔周囲の肉芽は術後1カ月以内の比較的早期に形成することが多く,術後の気切孔周囲の感染や炎症が関係していると思われ注意が必要である。気管切開後の言語発達について新版K式発達検査を行っていた10例で検討したところ,知能面で問題がない症例では言語発達遅滞を認めなかった。

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