日本気管食道科学会会報
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原著
当院にてカニューレ抜去を試みた小児気管切開患者症例の検討
鈴木 法臣竹田 加奈子近藤 陽一守本 倫子
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ジャーナル 認証あり

2015 年 66 巻 4 号 p. 255-261

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抄録

小児気管切開患者のカニューレ抜去を行うにあたり,当科では画像検査・カニューレのサイズダウンと閉鎖練習を事前に行っている。しかしながら,事前評価が十分と考えて抜去した症例のなかには,抜去後に呼吸状態が増悪した症例をこれまでに経験してきた。安全な小児気管切開患者のカニューレ抜去方法を検討するために,当科にて気管切開後の管理を行った354例を検討した。抜去できた症例は110例 (約30%) だった。抜去後に呼吸状態に関するトラブルは13例に認められた。その内訳は ① 抜去から数カ月以上経過して睡眠時のCPAP装着を要した症例が3例,② 抜去・気管孔閉鎖後の呼吸状態の増悪のため再気管切開を行った症例が5例,③ 一度抜去を試みたものの,数時間以内に呼吸状態が増悪しカニューレ再挿入を要した症例が5例,であった。呼吸状態が増悪した原因として,舌根沈下による上気道狭窄,気管前壁の内腔への陥入による気管狭窄,気管軟化症などが原因として考えられた。抜去前には,全身麻酔下での内視鏡検査やDynamic CTなどの画像検査を組み合わせて声門下や気管も含めた気道評価を行うことで,安全な抜去が可能かどうかの判断につながると考えられた。

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