日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
原著
小児用ラセン入りシリコン製気管切開チューブの実験的検討
田中 是菊地 茂大畑 敦大木 雅文
著者情報
ジャーナル 認証あり

2015 年 66 巻 6 号 p. 400-405

詳細
抄録

本邦では,数種類の気管切開チューブが使用可能な環境であるが,使用するチューブは各医師の経験に基づき決定されているのが現状である。近年シリコン製チューブにラセン状のステンレス鋼を組み込んだBivona® (Smiths Medical) が発売された。今回,チューブの柔軟性を比較し,チューブを0度,30度,60度と曲げた際の一回換気量の変化量,変化率を既存のポリ塩化ビニル製,シリコン製気管切開チューブと比較し,実験的に有用性を検討した。柔軟性はポリ塩化ビニル製よりシリコン製気管切開チューブで高く,Bivona®は最も柔軟であった。一回換気量の変化量はBivona® 30-60度間のみで低下しなかった。一回換気量の変化率は既存のシリコン製チューブで変化が多く,ポリ塩化ビニル製チューブで変化が少なく,Bivona®で最も変化が少なかった。Bivona®は既存製品と比較し,チューブの柔軟性が高く,屈曲時の一回換気量が安定しており,気管切開を施行した患児に対し侵襲が少なく,呼吸管理が容易なチューブと考えられる。

著者関連情報
© 2015 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top