症例は77歳の女性で,食事のつかえを自覚し前医を受診した。胸部食道癌(cT4b (下行大動脈) N1M0,cStage IVa)の診断で化学療法が施行されたが,食道縦隔瘻,縦隔膿瘍を合併した。食道ステントが留置され一旦は退院したが,間もなく経口摂取困難となり当院を紹介受診した。食道縦隔瘻の残存を認め,食道壁とステントの間隙から瘻孔への交通があると考えられたため,経口摂取を目的とした食道バイパス術を施行した。放射線治療も見据えてステント抜去も併施した。術後経過は良好で,術後11日目に経口摂取可能となり,52日目に自宅退院した。適応を厳密に考慮することで,狭窄を伴わない瘻孔形成例に対する食道バイパス術はステント留置よりも効果的な可能性がある。