2020 年 71 巻 6 号 p. 405-408
過去10年間に,われわれは特発性縦隔気腫22例を経験した。男性17例,女性5例で,平均年齢は20.5±10.9歳,平均body mass index(BMI)は19.0±2.4であった。11例(50%)は明らかな誘因がなく,11例(50%)はスポーツ中や咳嗽後などなんらかの誘因があった。1例のみ再発症例であった。症状は,胸痛は17例,咽頭痛は9例,呼吸苦は1例に認め全例が突然発症であった。確定診断は全例頸胸部CT検査で診断しえた。抗菌薬を使用したのは11例(50%)であった。平均在院期間は3.3±1.4日であった。全例が安静加療で改善した。平均観察期間は9.6±5.9日であった。特発性縦隔気腫は一般的には予後良好な疾患であり,胸腔内圧を上昇させないよう安静加療が重要である。しかしながら,縦隔炎や緊張性縦隔気腫を合併する重症例も報告されているため,十分な評価と経過観察を行う必要がある。