日本気管食道科学会会報
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原著
下咽頭喉頭全摘出術を施行した下咽頭癌における術後副甲状腺機能の検討
高橋 亮介河邊 浩明小出 暢章大野 十央有泉 陽介朝蔭 孝宏
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電子付録

2020 年 71 巻 6 号 p. 397-404

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抄録

局所進行下咽頭癌に対する下咽頭・喉頭全摘術(total pharyngolaryngectomy:TPL)は標準治療の一つである。TPLでは併施される甲状腺切除と気管傍郭清(VI郭清)の範囲によっては術後副甲状腺機能低下症を生じ得るが,今まで詳細な検討はされていない。今回,2008年4月から2018年9月に当科でTPLを行った下咽頭癌53例を対象に,甲状腺切除とVI郭清の範囲が3カ月後の副甲状腺機能に与える影響について調査した。切除範囲別の術後副甲状腺機能低下症は,甲状腺葉切+片側VI郭清で0%(4例中0例),甲状腺葉切+両側VI郭清で36%(14例中5例),甲状腺全摘+両側VI郭清で97%(35例中34例)と,切除範囲が大きくなるに従い術後副甲状腺機能低下症が高頻度になることが判明した。また副甲状腺機能補正を行っていた症例のうち,約20%の症例で高Ca血症と腎機能障害を認めた。補正薬剤の調節で高Ca血症は全例改善したが,2例は腎機能障害が残存した。副甲状腺機能を補正している症例は高Ca血症や腎機能障害をきたす可能性があるため,血液検査や尿検査による内服の調節を継続する必要がある。

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