日本気管食道科学会会報
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症例
食道入口部狭窄の1例
宮本 佑美永野 広海大堀 純一郎黒野 祐一
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2021 年 72 巻 3 号 p. 145-152

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抄録

食道入口部狭窄をきたすとして報告されている疾患および病態は,粘膜類天疱瘡,表皮水疱症,Plummer-Vinson症候群,Behcet's病,頭頸部癌化学放射線治療後などである。今回われわれは,上部消化管内視鏡通過不可により発見された食道入口部狭窄の1例を経験した。本症例のようにSjögren症候群(SS)に食道入口部狭窄を合併している症例の報告は稀である。治療は食道入口部の粘膜性の狭窄に対し,直達下に食道入口部の開大術を施行した。治療により上部消化管内視鏡は通過可能となった。SSやC型慢性肝炎,GERD,萎縮性胃炎と食道入口部狭窄との関連の明らかな報告は渉猟しえなかったが,口腔内乾燥やEGF量の低下による組織修復障害や,長期ステロイド内服等が関連している病態が考えられた。日常診療において嚥下障害の原因に食道入口部狭窄のような観察され難い稀な疾患があることを念頭におき評価を行う必要がある。

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