2021 年 72 巻 3 号 p. 161-165
背景:膿胸合併で瘻孔化した肺瘻部分に対して胸腔鏡下手術,endobronchial Watanabe spigot(EWS)気管支充填術,胸膜癒着術を行い完治に18カ月を要した症例を報告する。症例:78歳女性。前医で気胸を認め胸腔鏡下手術をしたところ胸水および喀痰から結核菌が証明され当院転院となった。ドレナージを行いながら抗結核療法を開始し,2カ月後に抗酸菌塗抹陰性となったが肺瘻の改善が見られず,3カ月経過したところで胸腔鏡下手術を施行した。術中所見では肺瘻部分は強固に癒着し瘻孔化しており,PGAシートを充填して手術終了した。術後肺瘻が継続したため,EWS気管支充填および胸膜癒着術を施行し,初回胸腔鏡下手術から12カ月後にドレナージのまま退院となった。外来ドレナージのまま経過を見ていたが,膿胸を合併して抗生剤治療を開始。感染がコントロールされた2カ月で肺瘻が閉鎖し4カ月後にドレーンを抜去した。その後19カ月再発を認めていない。結語:結核合併気胸のハイリスク患者に対して長期にわたりさまざまな治療を組み合わせることでADLを維持して治療が可能であった。