日本気管食道科学会会報
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原著
当科で外科的治療を行った喉頭乳頭腫61症例の臨床的検討
相良 由紀子堤内 亮博田山 二朗
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2022 年 73 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

喉頭乳頭腫は,その多くからヒトパピローマウイルスの感染を認める喉頭の腫瘍性疾患である。組織学的には良性だが,再発率が高いことや数%の割合で悪性転化することから難治性疾患の一つと位置付けられている。本邦での主たる治療法は外科的治療であり,当科ではNd:YAGレーザーを用いた喉頭微細手術を治療の第一選択としている。当科における手術成績を評価するため,2005年6月から2019年10月までの過去14年間に外科的治療を行った喉頭乳頭腫61症例について後方視的に検討を行った。平均年齢は51.9±19.7歳で,男性は40例に対し女性は21例であった。発生様式は単発型が26例,多発型が33例であった。平均治療回数は2.3回(単発性:1〜6回,多発性:1〜17回)であった。最終治療からの平均経過観察期間は36±31週で,最終的な転帰は,単回治療後に再発を認めない例が34例,初回治療後に再発を認めた例が24例で,再発例のうち複数回手術後に残存を認めている例が6例であった。病理学的所見では悪性転化を3例に認めた。今後,ウイルス型の検査を導入したり,補助療法の治療効果について症例を蓄積したりすることが検討課題である。

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