抄録
四肢の慢性虚血を引き起こす疾患の代表的なものに、閉塞性動脈硬化症(ASO; AsteroSclerosis Obliterans)がある。この病気は、腹部大動脈および下肢の動脈が、動脈硬化現象により、下肢への血液の流れが悪くなり、慢性的な血流障害を引き起こすものであり、近年、顕著に増加してきた疾患の1つである。本論文では、画像診断の支援を目的とし、FBI法を用いて得られたMR画像を用い、下肢部の血管構造の解析を行い、3次元的な血管構造の表示法や病変部の提示を行えるCAD (Computer Aided Diagnosis)システムの開発を行う。手法としては、FBI法により得られる非造影MR画像に対し、Coronal方向,Axial方向からのMIP (Maximum Intensity Projection)画像を生成し、それらの画像から画像処理を行うことにより、下肢血管領域を自動抽出する。最後に、得られる血管領域を3D表示する。提案法を閉塞性動脈硬化症例の実MR画像に適用し、良好な結果を得た。