バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
Online ISSN : 2424-2578
Print ISSN : 1345-1537
ISSN-L : 1345-1537
位相誤差を使用した音質評価指標
吉田 秀樹中野 正博行正 徹前田 康成横野 和也羽山 雄偉
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キーワード: 認識, 音響波形, 音声, , 合成
ジャーナル オープンアクセス

2010 年 12 巻 1 号 p. 9-18

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抄録

1オクターブに帯域制限した音響波形の極大値と極小値の情報があれば、元の波形を組み立てて情報を再現することができる。位相情報と振幅包絡はそれぞれ音源定位と音声情報の運び手の1つと関係付けられているので、計測した極値の位相と振幅方向の誤差のどちらが合成音の音質に重大な影響を及ぼすかについては関心が持たれるところである。そこで位相誤差と振幅誤差を独立に与えた合成音の主観評価をしたところ、2種類の合成音の波形と元の波形との二乗誤差は等しいにもかかわらず、位相誤差が有意に音質の劣化を招いていることを観察した。加えて極値を最小二乗推定することで位相誤差を4%未満に抑制すれば、合成音の音質が改善された。以上より、聴性認識は振幅より位相の検出に敏感にできており、位相誤差を算出すれば合成音の音質を見積もるための指標に利用できることが示唆された。

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© 2010 Biomedical Fuzzy Systems Association
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