抄録
1/fゆらぎがあるとみなせる楽曲(モーツアルト作曲「レクイエム」第7曲・「ラクリモサ」)を聴取させたときの心拍変動(HRV)解析を行い,合わせて被験者が感じた「リラックス度」および「聴取した楽曲についての印象」についての主観調査をそれぞれVisual Ana1og Scale(VAS)により実施した.被験者としては21名の男女に依頼し,市販システムによりHRV解析を行った(アルテット(ユメディカ社製):指尖脈波を二次微分して得られる加速度脈波のピーク間隔を抽出し,FFT解析を行う).その結果,1/fゆらぎ楽曲の聴取により交感神経活動の指標であるLF/HFが有意に減少することがわかった.また,1/fゆらぎ楽曲聴取によるLF/HFの減少とVASによる主観評価値により被験者を分類した結果,聴取した楽曲の「好き嫌い」とLF/HFの変動傾向に相関が認められた.このことは被験者の個性(嗜好)を考慮して分類して考察することの有益性を示唆する結果であると考えられる.