バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
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決定木手法によるDPC分類の評価 : 肺炎の分析と考察
阿部 眞澄外山 比南子斎藤 恵一
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2014 年 16 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

急性期入院医療を対象とした診断群分類(Diagnosis Procedure Combination(以下DPC))による診療報酬の包括評価制度は,傷病名等の条件に応じて一定額を支払う制度である.DPCコード040080は肺炎,急性気管支炎,急性細気管支炎が該当するが,2012年度に年齢条件で対応が分かれ,15歳未満はこれまでより低額に,15歳以上は高額に導かれた.そこで小児(15歳未満)と成人(15歳以上)に分岐したことの妥当性を調べることを目的とし,決定木手法を用いて相違を調べた.その結果,傷病名,入院期間,出来高点数と包括点数に相違が確認できた.すなわち,小児には急性気管支炎,急性細気管支炎が多く,成人には肺炎が多い.小児は入院期間が短期であり,成人は長期である.小児は包括点数のほうが出来高点数より高く,成人は逆である.これらにより,2012年度のDPC改定はDPCコード040080についてはその方向性としては正しい決定であったと考えられた.決定木分析法を適用することによって,予め仮定することなく,DPC分類における診療内容と診療費の実態を見ることができ,小児と成人を分けることの妥当性を評価できた.

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© 2014 Biomedical Fuzzy Systems Association
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