本論文では,IAPS(International Affective Picture System)で規定されている快画像と不快画像を対比提示したときの被験者の生体信号変化と,被験者の嗜好の相関関係を検討するものである.生体信号は心拍変動(Heart Rate Variability, HRV)と,簡易脳波計から計測された脳波(Electroencephalogram, EEG)とした.被験者は,心身ともに健康であると自己申告した16〜20歳の男性51名である.VAS(Visual Analog Scale)を用いて計測した被験者の嗜好と,生体信号との定量的関係を調べたところ,同じストレス源であっても,それをポジティブに評価した被験者とネガティブに評価した被験者間で,生体信号の現れ方が相反する傾向のあることが明らかとなった.