抄録
全ての人々が安心してインターネットを使用するためにはアクセシビリティの整備が重要である.我々はこれまでの先行研究で,眼球運動解析により可読性評価を行い,黙読時間,注視時間およびサッカードを算出することで視認性評価ができることを見出し,輝度コントラストの低下により,黙読時間および注視時間が長くなり,サッカードが小さくなることを報告し,輝度コントラストの違いが知覚認知過程に影響している可能性を示した.そこで本報告では,視認性と知覚認知過程の関係を詳細に検討するために,眼球電位と脳波計測を用いて輝度コントラストが知覚認知過程に影響を及ぼす影響を検討した.特に,知覚の開始(眼球停留開始)から認知までの時間(事象関連電位P300の潜時)により検討した.その結果,輝度コントラストが低下することで眼球停留開始からP300の潜時が長くなる傾向が示され,輝度コントラストの低下により視認性が低下することが示された.したがって,輝度コントラストが知覚認知過程に影響を及ぼしていることが示された.本報告により,先行研究が裏付けられた.