2018 年 20 巻 2 号 p. 9-14
相対論的エネルギーの炭素イオンを用いる重粒子線がん治療は,炭素イオンの優れた物理特性と生物特性のため多くの腫瘍に対して高い治療成果をあげている.一方,炭素イオンが核反応を起こす場合に生じる陽子やα粒子等のフラグメントによって患部から離れた正常組織も被ばくするため晩発影響が懸念されており,フラグメント生成量等の情報が必要とされている.本論文では,放射線医学総合研究所の重イオン加速器HIMAC のビームを用いた各種荷電粒子生成二重微分断面積の測定実験に関して報告をおこなう.