2019 年 21 巻 1 号 p. 61-67
本研究の目的は,口腔ケアの質向上に向けた教育的示唆を得るため,精神科看護師の口腔ケアにおける困難要因を明らかにすることである.器質的口腔ケアと機能的口腔ケアの困難要因に関して質問紙調査を行い,精神科看護師174 名の有効回答を分析した.その結果,精神科看護師の口腔ケアを困難にする要因は,「器質的口腔ケア」と「機能的口腔ケア」いずれにおいても,「患者の拒絶」が最も多かった.器質的口腔ケアと基本属性の関連を分析した.「患者の安全が確保できない時がある」を困難要因と挙げた精神科看護師の方が,年齢が高く看護実践力が高かった.「時間がない」を困難要因と挙げた精神科看護師の方が,年齢が低かった.機能的口腔ケアにおいては,基本属性との関連は認められなかった.本研究の結果から,器質的口腔ケアと機能的口腔ケアの困難要因を踏まえた口腔ケア教育の必要性が示唆された.