2019 年 21 巻 1 号 p. 69-77
本研究の目的は、神経心理学的検査の一つであり近年、発達障害への臨床応用が進むRay-Osterrieth Complex Figure Test(ROCFT)の妥当性検証と児童期の特徴や発達経過を明らかにすることにある。一般小学生1〜6 年生、全414 名を対象に、ROCFT3 条件(模写・3 分後再生・30 分後再生)を実施した。結果、横断的ではあるがいずれの条件においてもROCFT 得点は学齢に相応して上昇する傾向を認めた。ただし単純な線形回帰ではなく1〜3、5~6 年にかけての得点上昇が顕著であることが明らかとなり、また5〜6 年生では3 分後再生に比して30 分後再生の得点が有意に高くレミニセンス効果を認めたことから、4~5 年の変化は特に重要であると考えられた。本報告は無意味図形記憶課題でレミニセンス効果を認めた最初の報告である。主成分分析の結果、採用された項目でのROCFT 得点の一次元構造が確認され、特に3 分後再生と30 分後再生で採用された項目は全く同一であった。改善を加えた上でのROCFT 総得点は児童期の視覚情報処理過程の総合指標としての妥当性を有している。