バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
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情報伝達はなぜ難しいのか?-災害看護のMETHANE の講義からわかったこと-
秋永 和之高橋 公一野中 良恵柴山 薫梅﨑 節子
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2019 年 21 巻 2 号 p. 17-25

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抄録

看護学生394 名を対象に,同じ時間」に「同じ場所」で「同じ災害時の写真」を見てもらい,もし自分が情報伝達を行うなら「どのような情報を相手に伝えるのか」「送り手と受け手の情報伝達時のズレや,何故情報伝達を行なうことが難しいのか」を明らかにすることを目的に研究を行った.自記式質問紙調査票を用い,0~100%の尺度を用い回答を得た.結果,情報収集の際には自己の知っている用語で情報収集し,自己の想像や思い込みも含めて相手に伝えていることが多いことがわかった.また,送り手からの情報は送り手が思う以上に受け手には伝わっているということが確認できた(P<0.0001).さらに情報収集した際の用語を見ると,1 つの情報内容を示すのに,様々な用語を用い情報収集され,相手に表現されていることがわかった.情報を伝達する際,様々な用語で表現されていることは,受け手からすると「聞き慣れない」「知らない」表現となることがある.情報が曖昧なものとなるため,受け手の自分勝手な解釈や思い込みにもつながることが予測できる.これらは受け手がイメージをする時の「程度(どのくらいか等)」にも影響を与えることが予測できた.このように,人が持つ個々の語彙力によって,情報伝達の程度が左右されるため,人の命にかかわるような情報伝達の場合は,ツール等を用い,情報を整理して伝達することも重要と考えられた.

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© 2019 Biomedical Fuzzy Systems Association
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