2019 年 21 巻 2 号 p. 47-58
近年,画像認識の分野においてディープラーニングと呼ばれる人工知能技術が注目を集めている.画像認識は,画像情報から対応する画像パターンを推論する処理である.この処理において,ディープラーニングは既存の技術を大きく上回る成果を示している.ディープラーニングは,ニューラルネットワークの一種であるディープニューラルネットワークを用いた学習の事である.ニューラルネットワークの中で,深い階層構造を持つニューラルネットワークの事をディープニューラルネットワークと呼ぶ.本研究では,ディープラーニングを利用した,発掘された出土銭貨の分類を検討する.遺跡からは,非常に多くの種類の銭貨が発掘される.ただし,発掘された銭貨の分類は,考古学の専門家にとっても難しい作業である.また,出土銭貨は完全な状態でないものも数多く存在する.そこで本研究では,ディープラーニングによる出土銭貨の画像認識を行う.発掘された銭貨をコンピュータによる画像認識で分類する事ができれば,貨幣学の研究において大変有用であると考えられる.