抄録
コンピュータビジョンではカメラやプロジェクタなどの光学機器の特性によるノイズを避けてモデリングする必要がある.コンピュータビジョンシステムの性能を改善するためにはロバストなモデリング技術の開発が不可欠である.RANSAC や LMedS アルゴリズムはこの課題に対して広く適用されてきた.しかし,実際の問題では,その性能は含まれる外れ値ノイズの割合が増えると劣化し,計算時間も増大する傾向がある.ロバスト推定の有望な技術として,筆者らは強化学習の概念に基づくファジィ LMedS 法を提案した.本研究では,人工生成データに対するファジィモデリングとカメラホモグラフィーの推定実験を通して,強化学習の重要な要素である行動選択戦略を調査する.実験結果から提案したε-ルーレット戦略によれば計算時間,モデルの最適性,モデリングのロバスト性において有望であることがわかった.