バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
Online ISSN : 2424-2578
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高齢の男性における介護経験による救援力
西尾 美登里 坂梨 左織木村 裕美久木原 博子古賀 佳代子林 大悟大上 渉内田 直樹尾籠 晃司
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キーワード: 高齢, 男性, 介護, 救援力
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2021 年 23 巻 2 号 p. 17-22

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抄録
高齢化により認知症の増加が顕著である. 世帯構成の変化により, 家族役割が変化し,認知症の妻や母を介護する男性が増加している. 高齢の男性は, 介護で困難を感じた際, ジェンダー的価値観から, 社会資源を頼る自分を許容できない傾向があり, 助けを求めない傾向がある. したがって, 高齢の男性が介護役割を担うとき, 更に自分自身で解決しようとする可能性があると考えられた. 高齢の男性にとって, 介護により救援力は低下するが, 介護の経験価値は, 自尊感情を高め, 救援力を高める可能性がある. 介護中の高齢の男性に必要な支援として, 日々の生活の中で見守り合うことや, さりげない確認, 深いかかわりを持たなくとも, 異常に気づく仕組みをつくることが必要である. 介護をしながら就業する高齢の男性が, 救援力を発揮するためには, 他者からの直接的な支援を望まない男性を理解し, 受け入れる姿勢をとり, 就業を継続する制度を整えることが必要だろう. 介護を経験のある男性は, 介護の課題に対し解決した経験から, 課題を解決できる確信と自信を持ち, 自己効力感が高くなると考えられる. 高齢の男性が, 介護の経験価値を有すると, 更に自己効力感を高める可能性があり, 自己効力感が高い男性は自尊感情が高く, 救援力が高いと考えられた.
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© 2021 Biomedical Fuzzy Systems Association
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