バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
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就労血液透析患者の自己管理行動とワーク・ファミリー・コンフリクトに関する研究
山元 万里子 緒方 久美子村田 敏晃斉藤 喬雄兼岡 秀俊
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2023 年 25 巻 1 号 p. 55-64

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抄録

本研究の目的は, 就労血液透析患者の自己管理行動とワーク・ファミリー・コンフリクト(以下, WFC)を明らかにし, 透析と自己管理, および仕事と家庭の両立に向けた支援につなげるための示唆を得ることである. 外来血液透析治療を受けている就労患者 135 名を対象に自記式質問紙調査を実施した. その結果, 自己管理行動は女性, 透析歴の短い者, 検査データを整理保管している者, 血清カリウム値が良好である者, 社会的支援がある者が有意に高く, WFC は透析開始時間が 16 時以降の者, 暮らし向きにゆとりがない者, 労働時間が長い者, 勤務量が多い者, 業務負担が大きい者, 社会的支援がない者が有意に高かった. 自己管理行動と WFC との関連では, WFC は自己管理行動の「不良群」で有意に高かった. そのため, 就労血液透析患者の自己管理は, 性別や透析歴, 検査データ等を踏まえた関わりを, WFC は, 透析開始時間や暮らし向き, 勤務状況等の社会背景から個別的な支援を検討する必要があり, 患者の社会的支援を把握し, 職場や医療機関などが連携して患者・家族支援につなげることが重要である.

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© 2023 Biomedical Fuzzy Systems Association
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